ハチ
駅のホームで猫が佇んでいた。
理由はわからない。
主人の帰りを待っているのか。
鉄道マニアなのか。
餌にありつくため駅にいるのか。
と、通過電車がやってきた。
ガタンゴトンと車輪の鳴る音が近付いてくる。
猫は、音を聞くと、ため息をつき、天を仰いだ後、ぐっと体を低い位置に押し下げた。
(…ん?)
電車が近付く。
ガタンゴトン、音は次第に大きくなる。
猫は、それに伴い、ぐぐっと前足に力を込め始めた。
(こいつ…死ぬ気だ!)
ガタンゴトンという車輪の音は、風を切り裂くブワッという音と、笛のような音にかき消され始めた。
電車は、今まさに猫と僕の前を通過しようとしている。
瞬間、猫は、全身の力を一気に解放し、今いるその場所から飛び立とうとした。
「待てよ!」
気付けば僕は、叫んでいた。
「待てよ!…待て!お前に何があったのか、俺は知らない。でも、あれだ!死ぬのは、何があったのか、俺に話してからだって、遅くはないだろう!?」
ガタンゴトン、電車が目の前を通過する。
猫は、振り上げたその前足をゆっくりとおさめ、くるりと僕の方を振り向いた。
すいません、続きを考えている間に電車が着いてしまいましたので、これで終わりです。
Posted by 北川 on 1月 22nd, 2010 :: Filed under 未分類
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