撮影チャンス
帰りがけ、とある駅でドアが開くと、一人の青年がドアの真正面に立ったまま電車に乗ろうとしない。
彼と真正面に近い位置にいたのが僕だけだった為他の人は気付いていなかったようだ。
彼は両手を口の周りにあて、「ヤッホー」と言う時の構えをしていた。
ふと僕と目があった彼は「アッ」という表情をして視界から消えていった。
なんなんだ彼は、と思いながら視線を手元に戻した瞬間、さっきの彼が勢いよくドアの所に戻ってきて大声で叫んだのだ。
「あーさでーすよー!!!!」
ハッとする車内、閉まりゆくドア、走り出す電車ととりあえず不愉快そうな表情をする乗客。
しかし僕は見たのだ、遠ざかってゆくホームでさっきの彼と今まで見えていなかったっぽいもう一人の男性が、二人して手元の何かを覗き込んでいたのだ。
その瞬間ピンときた。
撮影してたな、と。
ピンときたのも当然。
身に覚えのある事だ。
こういうゲリラ的撮影をどれだけやってきた事か。
当然人の迷惑にならぬよう、法をおかさないよう気を付けてきたつもりだが、はた目には今日の彼と似たようなものだろう。
周りは大分不愉快そうな顔をしていたが、僕だけはこう伝えてあげたかった。
ほどほどにな、と。
Posted by 永塚 on 7月 16th, 2010 :: Filed under 未分類
You can leave a response, or trackback from your own site.