記憶
最近、記憶がない。
毎日、やらなければいけないことをきっちりこなしているし、一応、都度都度何がしかの判断をしたりしているわけだけども、「あれ?昨日って何したんだっけ?」みたいに毎日思っている。
つまり、最近の僕は、頭が全くまわっていない。
脳を介さず、筋肉の反射のみで、適当に話したり諸々の判断下したりして生きている。
関係ないようだが、今日、家の近所を歩いていて、でかいゴキブリを見かけた。
「なんでこんなでけーゴキブリが道にいるんだよ。この街はゴミ箱か?」
けっこうでかい声で独り言を言い、僕は、ゴキブリに近付いた。
ゴキブリは、さっと僕の足から逃げた。
その無軌道な動きは、危ない、と思ったからではなく、彼の本能が、彼の筋肉が、僕の足から彼を逃げさせたもののように、僕には見えた。
その時、気付いた。
最近の僕は、ゴキブリだ。
筋肉の反射のみで、その場その場の危機を回避し、ゴミ箱のように汚い街をうろうろして生きている。
汗と油で体は光り、背中には甲殻のように黒い革のリュック、伸びた髪と無精ヒゲは触角を思わせる。
そしてなにより、道の端、壁の側をコソコソと歩くその態度。
踏まれにくい場所を移動する、これこそまさに、ゴキブリのそれだろう!
ゴキブリは、側溝の中に消えていった。
僕は、コンビニで大好きなホウ酸団子を買って帰った。
Posted by 北川 on 7月 5th, 2013 :: Filed under 日常
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