帰ってきた。
もうすぐ家だ。

たった一ヶ月間ではあったけども、四六時中、ある特定のことだけやらされていると、人間って、どうしてもそのことに心を持っていかれそうになるものだ。
無理矢理坊主にさせられ、俗世的な感覚を引き剥がされ、世間と完全に隔離された場所で、昼夜を問わず様々なお経や作法を叩き込まれていく。
そんなことやられると、ついつい「あそこのお経はこう歌った方がいいんじゃないか」とか「あそこの作法はこうやった方が効率がいいんじゃないか」とか、そんなことを考え始めてしまう。
で、気付けば、一人の完全な坊さんになっていってしまっていたりする。

だが、僕は負けなかった。
毎日、くそエロいことを考え続けながらお経をよみ、作法をこなしているフリをしながら撮りたい映画の構想をまとめ続け、精進料理をラー油まみれにすることで餃子だと思いながら食し、おかゆをソイマヨネーズ（卵を使ってないマヨネーズ）でビタビタにすることでリゾットだと思いながら食した。
俗世にとどまるための努力を重ねながら、毎日を過ごした。
そうしたら、正直なんかイカれてしまった。
異常にエロい人間になったような気がするし、なにより味覚がぶっ壊れた。
精神的に坊さん界に属さないことには成功したが、俗世にもたぶん適応できない、変人というか、煩悩の化物みたいになって帰ってきてしまった。
まあ、しょうがないな。

あと、全然関係ないけど、修行中は幽霊とか火の玉とかを何回もはっきりと見た。
一緒にいた修行者みんなで同時にはっきり見たことも何度もあった。
全然信じていなかっただけにまじでビビった。
あれまじでいるんだな。

というわけで、今後もまたちょいちょい書いていきます。
よろしくお願いします。

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Posted by 北川 on 8月 29th, 2010 :: Filed under 未分類
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