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深い揺さぶり

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そろそろ稽古が始まるので台本に着手しているところなのだけど、やはり十年前というのは今よりもずっとストーリー主義的で、今とは好みの方向が著しく違うというのがある。

ストーリー主義なのが悪いことではないけれども、物を作るたいていの人は、あるときからストーリーというものに支配されることを嫌い始める。ストーリーというのは歴史的にもうすでに出尽くしてしまって、感動を与えるためにはうまいアレンジをするしかない(技巧的なものを求められるだけ)と言われてるのもあるし、あとはお客さんには、ストーリー以外に見所(楽しみ方)を持ってほしいという、作り手の願望みたいなものもあるのだろうと思う。やっぱり、笑って泣いてオチがあります、みたいな話だけでは芸術文化というものは広がりも成長も見せないだろうし。お客さんも評論家気取りで今回はオチが、とか、ひねりが、とかいうことしか言えないものはやはり窮屈な世界だというか。良い、悪い、じゃなくて自分はこういうところが好き、あそこが好き、と幅が豊かな作品がいいものだと思います。

演劇に関していえば、心の中で言葉にできないものが揺り動かされるとか、ふわっと得体のしれない感情が沸いてきたとか、そういうことをやり取りできる可能性を持った媒体だと思うし、演劇なんてせっかく分かりにくいものをやっているわけだから、もっと深いところで楽しみたいよね、と思っているわけです。すごく分かりやすいのに、深い揺さぶりがある、というのが僕の目指すところです。


Posted by 徳尾 on 6月 25th, 2012 :: Filed under 日常
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