すみませんの一言
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[日常] 近所の民家です。



ぼくはどちらかというと野球が好きだったので、小さい頃はよく自分の家の塀に向かってボールを投げて、跳ね返ってくるボールを拾ったりして遊んでいた。

普通に壁に当たるぶんにはいいんだけど、たまに塀の角に当たると反発が強くて他人の家の屋根まで飛んで行ったりした。特にガレージの屋根に当たるとガッシャーン!とすごく大きな音がするものだから、すぐに自分の家に入って隠れたりしていた。ぼくじゃありませんよ、と。

で、父親の転勤でまた引っ越すことが決まったときも、いつものように壁にボールを当てて遊んでいたら向かいの家のじいさんが出てきて、「これ」と言ってパンパンに膨らんだ袋を渡してきた。

それはぼくが三年ぐらいかけて、ガレージの屋根に乗せ続けてきたボールだった。「あ、どうも・・・」と、まるで新しいボールを「もらっちゃっていいんですか」みたいな顔をして受け取ったけれど、今思えばすみませんの一つぐらい言えば良かったと思っている。


日常 日時: 2012年04月05日 22:00 | 

とくおNOW

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