とくお組
2003年慶應義塾大学の2つの劇団(劇研・創像工房in front of.)のOB・現役を中心に旗揚げしました。主にコメディを作っており、宇宙船の機関室や画家の脳の中といった「非日常」世界で、キャラクターたちの心理や言動は「日常的」に描くという作風です。HPにて主宰・徳尾浩司の会社員コラム連載中。
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ただ、弁当を買ったというだけの話
[日常] 家の近所に、個人経営の弁当屋と肉屋が並んでいる。
肉屋は昼になると数は少ないが弁当を売っていて、比較的美味しいのでたまに利用する。先日も弁当を買おうと肉屋に入ったところ、自分の前には2,3人並んでいて総菜を買ったり肉を買ったりしている人がいた。
ぼくの前がオバサン一人になったとき、カウンターに並んでいる弁当はまだ四つ残っていたので「買えるな」と思っていたのだが、オバサンが一気に四つ買ってしまったため、おいおいおい!!と思いながら仕方なく肉屋を出て、隣の弁当屋に行くことにした。
ちなみに、ぼくはその個人経営の弁当屋の弁当があまり好きではない。
まず、メニューはすべて下手な色鉛筆のイラストで描かれており、その実態がぼんやりしている。実際、唐揚げは水分が抜けていてゴムのように硬いし、メンチカツも肉以外のよく分からないペースト状の何かが大半を占めている。付け合わせのポテトサラダに至っては自分では固まっていられないほどドロドロだ。
あとこの店がちょっと苦手なのは、店のオバチャンが(おそらくその弁当屋は夫婦で営んでいる)こちらにあまり考える時間を与えず、「何するの?決めた?」とタメ口で注文を聞いてくるところだ。今回もそうだった。おかげで最も避けたい「唐揚げ&メンチカツ弁当」を選択してしまった。ゴム&ペースト弁当だ。
10分ぐらい待っただろうか。店の奥から「今メンチ揚げてるからね(もうちょっと待ちな)」という声が聞こえてきた。まあ、もうこの際10分でも20分でも別に構わない。ぼくは本命の弁当を逃した時点で、いろんなものを諦めていたのだ。向こうは続けて、「大盛りだっけ!?」と聞いてくる。
大盛りを食べそうに見えたのだろう。普通でいいと答えるのが面倒で「うん」と言った。
小銭の代わりに大盛り弁当を受け取って、さあ帰ろうと思ったところで、自転車を肉屋の前に停めていたことに気が付いた。自転車のカゴに買った弁当を載せて、キーを回してふと肉屋の中を覗いたところ、カウンターに新しい弁当がいくつも並んでいた。
たかが弁当。ぼくは無表情のまま、自転車の向きをスッと変えて家路に向かった。
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日常 日時: 2011年03月25日 22:59 |
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