とくお組
2003年慶應義塾大学の2つの劇団(劇研・創像工房in front of.)のOB・現役を中心に旗揚げしました。主にコメディを作っており、宇宙船の機関室や画家の脳の中といった「非日常」世界で、キャラクターたちの心理や言動は「日常的」に描くという作風です。HPにて主宰・徳尾浩司の会社員コラム連載中。
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沈黙が気まずい店
[日常] 近所に昼間はランチ、夜はバーになる小さな飲食店がある。
家のガレージを改装して作られた店のようで、マスターの男性以外には客が5,6人しか入れないほど狭い。値段も安くて、先日ランチで行ったときには、牛サイコロステーキ丼と小鉢と味噌汁と生野菜サラダと食後のコーヒーがついて550円だった。
もうタダでもいいんじゃないの、と思うぐらいの安さだ。
味も悪くないし、本来は毎日通ってもいいぐらいなのだが、ぼくは当たり障りの無い会話というのが滅法苦手なので、大抵一言も発しない。マスターも後ろでも向いてくれればまだ気が楽なのだが、ずっと視線を感じながら食べていると気まずく、なんだか飼育されているような気分にもなってくるのだ。
「コイツはトマトを最後に残すのか・・・」とマスターのセリフが頭で勝手に鳴り響く。
当たり障りのない話。当たり障りの無い話。天気の話。いや、つまらない。じゃあ何の話。ニュースの話。ニュース見てない。スポーツの話。スポーツ見てない。そんなことを考えていたら、いつも沈黙のまま食べ終わっている。
こんな調子なので、せめて会計時には「ごちそうさまでした!」をできるかぎり明るく言って、不機嫌な人ではないということをアピールして店を出る。
不機嫌な人ではないけど、変な人だなとは思われているだろう。
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日常 日時: 2011年02月08日 23:36 |
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