とくお組
2003年慶應義塾大学の2つの劇団(劇研・創像工房in front of.)のOB・現役を中心に旗揚げしました。主にコメディを作っており、宇宙船の機関室や画家の脳の中といった「非日常」世界で、キャラクターたちの心理や言動は「日常的」に描くという作風です。HPにて主宰・徳尾浩司の会社員コラム連載中。
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スーパー社員成長記
[日常] 嬉しいことがあったので餃子の王将に行った。
思えば昨年、厨房に入っていた社員と思われる若者が、他のバイトよりも手際が悪かったために、周りから皮肉を込めて「スーパー社員」と呼ばれていた。
「スーパー社員、ハンテーイー!」とか「スーパー社員、皿!」とか、「スーパー社員、邪魔!」ってな具合である。当時、それをぼくはカウンター越しに見つめながら、特に何も思わなかった。
そこで昨日、久しぶりに行くとそのスーパー社員がいた。半年前は洗い場の外にあまり出ず、出てきてもスーパーを連呼されながらモタモタしていた彼だったが、今では餃子の王将の花形ともいえる餃子場で、一人前にしこしこタネを皮に包んでいた。
気のせいか顔も精悍な顔つきに変わったような気がする。
むむ・・・彼もいじめに耐え、今では本当にスーパーになったのかもしれない。と感慨浅げに天津麺を注文すると、ちょうどその頃から店内は混み始め、厨房は餃子の仕込み以外にも人手が欲しくなってきたようだった。
バイト長らしき人物(半年前はいなかった)をはじめ、数人のバイトが右に左に動き出したのだが、彼は至ってマイペースに餃子を包み続けている。見ようによっては、そこだけ流れている時間が違うようにも見える。
全体的には相当切羽詰まってきたのだろう。バイト長が彼に向かって「餃子はもういいから、天津おねがいできる?」と声がけしたところ、
餃子を持つ手を止め、「無理です!」と即答していた。
おそらく彼はこの半年で、やっと皿洗いから昇格したばかりだったのだ。調理に持ち帰りに会計に、他のメンバーが奔走する中、黙々と餃子を仕込み続けるスーパー社員。
それを受けたバイトの人が小声で「スーパー入りましたー」と言っていたので、この半年で、皮肉の度合いはむしろ強くなっていた。
また半年後、彼の成長を見に行こうと思う。
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日常 日時: 2008年02月14日 12:33 |
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