穴八幡
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先日、仕事の関係で「お酒を飲みましょうよ」という電話が掛かってきた。

その方は以前に何度も企画の打ち合わせをしたことがある男性で、それまでに分かったことは、その方がバイセクシャルであるらしいということだった。まあ、それ自体は特に驚きもないことだったのだが、

「では、行きつけの店があるので、早稲田にしましょうか」といわれたので、待ち合わせ場所はどこがいいですかと尋ねたところ、

「穴(あな)八幡で」

と言われて吹きそうになった。


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[日常] その穴八幡神社で待っていたのだが、先方が仕事で遅れていた。

この神社は早稲田大学近くにあるのだが、もちろん夜は薄暗く、人が通る場所ではない。何が待っているのか、穴八幡。誰もいないぞ、穴八幡。

寒さと不安から思わず引き締まる、穴。

立っているだけでは寒いので神社の方に目をやると、入口におみくじが置いてあった。ひいてみると、「中年より先はあまりいい運じゃないので、せいぜい今を楽しんでおきなはれ」「探し物は高いところにある」というような文言が難しい言葉で書かれており、
あなたの職業はデレクターか、または手芸などもおもしろいでせう。と書かれていた。

手芸て。

デレクターと手芸がどう近いのかはよく分からないが、とりあえずこの二者択一ではデレクターを心に刻んでおみくじを柱に結びつけると、ちょうど「どこにいます?」と電話が掛かってきた。

穴です。穴八幡。「はい?」いや、だから穴、穴八幡、穴八幡の前です。

誰もいない神社で寒さに震えながら穴、穴、と繰り返していたのだが、実際は駅前に別の明るい入口があった。しばらくして先方が現れ、その神社からちょっと離れた美味しい飲み屋で、これからのエンターテインメントについて大いに盛り上がった。

盛り上がりながらも、心の中ではしばらく、穴八幡が消えなかった。


日常 日時: 2008年02月01日 21:37 | 

とくおNOW

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