とくお組
2003年慶應義塾大学の2つの劇団(劇研・創像工房in front of.)のOB・現役を中心に旗揚げしました。主にコメディを作っており、宇宙船の機関室や画家の脳の中といった「非日常」世界で、キャラクターたちの心理や言動は「日常的」に描くという作風です。HPにて主宰・徳尾浩司の会社員コラム連載中。
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穴八幡
先日、仕事の関係で「お酒を飲みましょうよ」という電話が掛かってきた。
その方は以前に何度も企画の打ち合わせをしたことがある男性で、それまでに分かったことは、その方がバイセクシャルであるらしいということだった。まあ、それ自体は特に驚きもないことだったのだが、
「では、行きつけの店があるので、早稲田にしましょうか」といわれたので、待ち合わせ場所はどこがいいですかと尋ねたところ、
「穴(あな)八幡で」
と言われて吹きそうになった。
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[日常] その穴八幡神社で待っていたのだが、先方が仕事で遅れていた。
この神社は早稲田大学近くにあるのだが、もちろん夜は薄暗く、人が通る場所ではない。何が待っているのか、穴八幡。誰もいないぞ、穴八幡。
寒さと不安から思わず引き締まる、穴。
立っているだけでは寒いので神社の方に目をやると、入口におみくじが置いてあった。ひいてみると、「中年より先はあまりいい運じゃないので、せいぜい今を楽しんでおきなはれ」「探し物は高いところにある」というような文言が難しい言葉で書かれており、
あなたの職業はデレクターか、または手芸などもおもしろいでせう。と書かれていた。
手芸て。
デレクターと手芸がどう近いのかはよく分からないが、とりあえずこの二者択一ではデレクターを心に刻んでおみくじを柱に結びつけると、ちょうど「どこにいます?」と電話が掛かってきた。
穴です。穴八幡。「はい?」いや、だから穴、穴八幡、穴八幡の前です。
誰もいない神社で寒さに震えながら穴、穴、と繰り返していたのだが、実際は駅前に別の明るい入口があった。しばらくして先方が現れ、その神社からちょっと離れた美味しい飲み屋で、これからのエンターテインメントについて大いに盛り上がった。
盛り上がりながらも、心の中ではしばらく、穴八幡が消えなかった。
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日常 日時: 2008年02月01日 21:37 |
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