恐怖のミックスフライ
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[日常] 初めて行った和食屋が、若夫婦と子供(男児)、姑で切り盛りをしているお店でした。

旦那さんが厨房に立ち、お嫁さんが接客、姑はカウンターで徹子の部屋を見ていて、子供(男児)はなぜか店の中を走り回っていました。その男児はおしぼりを自分が持って行くとダダをこねて、僕のところに来たかと思うと、最終的には投げつけて来ました。ただ、僕はそんなことでムッとしたりはしません。静かに広げて、丁寧に手を拭きました。

お嫁さん、と言っても35歳前後ぐらいで、僕とあまり変わらない感じ。だから、お店に立つのはもう長いはずなのだけど、その徹子の部屋を見ている姑が、ことあるごとに「お茶を早く持って行く!」とか「持って行くついでに下げる!」とか激しく命令していて、入って五分ぐらいで「嫁、いじめられてる……」と分かる感じでした。

僕の隣で、嫁姑問題が繰り広げられているのです。


定食を食べた手です。

近くの席についたお客さんが「Aランチと、あと、納豆みたいなものありますか?」とお嫁さんに質問しました。「納豆みたいなもの……?」と頼りなさげに返答して、そのまま辺りをうろうろしはじめました。すかさず姑はカウンターから「あるよ!」と答えます。「あるよ!」と聞こえたからには、隣のお客さんも「それで!」と答えてしまい、オーダーが成立してしまったのです。

お嫁さんはしばらくして、スタンド型の小さなメニューを持ってきて、「納豆、あります」と指を差しました。すかさず「遅い!」と姑は突っ込みをいれます。ちなみに、姑が見ている徹子の部屋なのですが、テレビ自体はお客さんから見えません。厨房の中のどこかにあるみたいなのですが、店内には徹子の声しか聞こえてこないのです。どうでも良いことですが。

ふと気が付くと、さっきまで店内で暴れ回っていた子供の声がしないことに気が付きました。最後に聴いた声は、姑の「ちょっとこっちに来なさい」という怒りを押し込めた声と、「やだっぷー」という男児の返答です。

ぼくのもとに揚げたてのミックスフライが運ばれてきたのは、その十分後くらいのことでした。


日常 日時: 2016年01月21日 00:42 | 

とくおNOW

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