2016年03月11日

何がいいのカフェ
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[日常] 今から十三年前、下北沢に暮らしていた。

今日、街を歩いていたのだけど、多くの店はもう同じ土地で3,4回入れ替わっているが、十三年前、いやおそらくもっと前から続いている店も当然ある。

その中には、単純に儲かってる店もあれば、その商店主が土地を持っていて、自由気ままにやってるだけ、という店もあるだろう。僕としては、後者の自由気ままな店が、どうかたくさん残って欲しいと思っている。(そうじゃないとチェーン店ばかりのお店になってしまうから)。

僕が好きだったカフェは、もう十年ぐらい前に潰れてしまった。マンションの三階か四階に一室だけあって、お姉さんがカウンターの下にしゃがんで本を読んでいる、お客さんはいつ行っても一人いるか、いないかという店。

こういう店のジレンマでもあるのだけど、あまりに隠れ家すぎて潰れてしまったのだと思う。お姉さんは、きっと経営よりも、カウンターの下で本を読んじゃう店員、というスタイルに憧れていたのかもしれない。そして、僕はそういう店の片隅で、本を書いているふりをしているのが、好きだったのだろう。

あともう一つ、僕がよく行く店のひとつに、「そんなに好きでもないカフェ」がある。

デリカフェみたいなところなのだけど、椅子の座りごこちも良くないし(パイプで痛い)、よく分からない音楽が爆音で掛かっているし、コーヒーなんてインスタントみたいな味がする。食べたことはないけど、きっと食事もそんな美味しくないような気がする。

だからこそ、なのかもしれないが、店内はいつも10パーセントぐらいの入りで、混雑具合が絶妙で心地良い。どれだけ長くいても店員は気にしないし、客席同士の距離感もすごくいい。

もう十三年以上も来ているのに、店の名前すら知らないけど、この店が潰れたらすごく悲しい気持ちになると思う。帰りに、店の名前ぐらいは見ていこうかな。覚えていたら。


日常 日時: 14:38


とくおNOW

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